◆ ゼミ担当者のプロフィール (著作の奥付などに載せる一般的な自己紹介)
山口誠(やまぐち・まこと)
1973年東京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(社会情報学)。関西大学社会学部を経て、2015年度より獨協大学外国語学部教授。専門はメディア研究、歴史社会学、観光研究。主な著書に『客室乗務員の誕生』(岩波書店)、『ニッポンの海外旅行』(筑摩書房)、『グアムと日本人』(岩波書店)、『英語講座の誕生』(講談社)、『観光のレッスン』(共著、新曜社)、『「地球の歩き方」の歩き方』(共著、新潮社)、『複数の「ヒロシマ」』(共著、青弓社)、『「知覧」の誕生』(共編著、柏書房)などがある。
◆ ゼミ担当者のプロフィール (長い自己紹介バージョン)
山口誠(やまぐち・まこと)
・1993年、一浪して獨協大学外国語学部英語学科と埼玉大学教養学部を受験。学費が安い後者に進学して、M.ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を精読するゼミ(当時は1年生でも4年生や院生の演習(ゼミ)を履修できた!)を本籍地に、理論社会学を学ぶ。1年生の4月から同級生と家呑みをしつつ朝まで読書会をしていたのが、いまの仕事の基礎を作ってくれたと思う。
・1995年、埼玉大学の3年次に在籍しつつ、東京大学社会情報研究所の研究生になり、メディア研究を本格的に学び始める(・・・はずが、奇妙な友人たちに恵まれてしまい?学外での「自主研究」に勤しみ過ぎて単位が取得できず、1997年の大学院進学によって研究生の資格は返納(中退)することになった)。
・1996年、大学4年のときにMonash University(オーストラリア、メルボルン市)に交換留学で1年間在学する。学生寮がunisexで、とくにバスルーム(シャワーとトイレ!)の男女共用に、勝手に苦しみ続けた(トイレの個室で用を足していると、隣の個室の学生(女子)が話しかけてくる状況が全然OKな方には、ぜひこの学生寮への留学をおすすめします。ぼくには無理だった…)。
・Monash Universityでは芸術学部写真映画学科に所属し、前期は「写真実技のゼミ」(ビールを飲みながら!プロの写真家でもある教授と学生10数人が今週撮った作品を持ち寄って合評するゼミ)と「写真史」(受講生は初回3人、そして途中から1人に。ハードでマニアックだが、最も記憶に残る熱い怪講義だった)に没頭するが、他の学生と比べて自分が撮る写真のつまらなさに呆れ果ててしまい、写真関係の仕事に就く夢をあきらめた。しかし「写真史」の先生の紹介で、となりの映画学科の学生たちと仲良くなり、前期の途中から映画学科の授業に出席し、映画に関するCultural Studiesという学問領域と出会う。
・やはり「写真史」の先生の紹介で、おなじメルボルン市にあるThe University of Melbourne(まだTheが付くのです。ちょっと、なんだか、ねぇ・・・)のCultural Studies Courseに転籍。さらに「ハードな先生」たちと出会い、すごーく勉強することになる。毎週10本ぐらいの文献を読み、A4で5枚ほどのレポートを書き、2週に1回はゼミ発表の順番が回ってきて・・・睡眠時間が2~3時間の日々が続いたが、「真面目に勉強することはかなり楽しいこと」を初めて実感する(23歳だった。遅かった気がします)。
・日本に帰国した後も大学院でCultural Studiesを学びたいなぁ、と思い始めたころ、留学前の読書会で吉見先生の『都市のドラマトゥルギー』(弘文堂、1987年)という本を読み、友人たちと議論を重ねたことを思い出し、The University of Melbourneの書庫にあった同書を読み返した結果、ぜひ吉見先生のゼミに入りたいと思う。1997年、吉見先生が所属する(当時)東京大学社会情報研究所の修士課程に進学する。ただし、この研究所には2年前から研究生として出入りしていたためにまったく新鮮味がなく、じつに悪友も多く、そして研究生のころに身についた「学外での自主研究」に拍車がかかり、他大学院の授業へ「もぐり」に出かけてばかりいた。
・さらに海外放浪癖もこじらせてしまい、吉見先生の顔の広さと大学院の制度を「フル活用」させていただき、大学院在学中にアメリカ、韓国、イギリスの大学院へ、それぞれ半年から1年遊学する。メルボルンのときのように他大学の授業に出席して、いろいろな大学のさまざまな授業を体験させてもらった。その経験が、いまの仕事(とくにゼミのプログラム開発)に役立っている、と思う。
・2001年に「代打」として与えられた実践女子大学での非常勤講師の仕事で、受講生から大学の授業の難しさと面白さを大いに学ぶ。(いま振り返ると、おそろしく独り善がりな授業をやっていた、と冷や汗をかくばかりですが、幸いにも、とても心優しい受講生に助けられ、「授業の準備の方法」と「授業中の軌道修正の大切さ」を学びました。いまもあまり成長していないかもしれないけど、ほんとうにありがたかった。)
・2002年から関西大学社会学部マス・コミュニケーション学専攻(2013年よりメディア専攻へ改称)に専任教員として奉職する。ここから13年間、大阪府の北部の吹田市に住む。着任当初の研究テーマは「1925年開始の日本の放送事業史(メディア史)」。つまり専門はガチガチのメディア研究で、観光研究とは無関係だった。なお関西大学は研究室に24時間出入り可能で、電気・空調・ガス(!)も自由に使えたため、2007年に結婚するまでほとんど研究室に棲息していた。大学から自転車で15分ほどの千里ニュータウンの団地に自宅があり、通勤も楽ちんだった。
・2007年にグアムの本を出版する前後から、観光の研究に強い関心を抱き、関連する文献を読み漁る。2011年から2015年まで京都大学大学院(および文学部)の非常勤として演習を担当したとき、放送史よりも観光社会学をテーマにした学期のほうが圧倒的に受講生が「起きていた」ため(つまらんと少人数の授業でも寝るし、いなくなるんです、京大生は)、放送史をやめて観光社会学をメイン・テーマとする演習に切り替える。すると受講生による刺激的な発表が続き、授業後に院生や先生たちと放談しているうちに、いよいよ観光研究の魅力にとりつかれる。
・2012年に発足した「観光学術学会」の会合に参加したところ、自分が著作を読んで勉強してきた(名前だけ存じ上げていた)研究者がたくさんいて、親しく話しかけてくれるので「観光学者はいい人ばかりなのか?」とびっくりする。さらに自分よりも若くて才能ある気鋭の研究者がたくさんいること、彼らが健全で生産的な議論を交わしていることに、強い衝撃を受ける。いまの日本の観光研究は人材が豊富で面白すぎるぞ、と勝手にワクワクし、もう観光研究から抜け出せなくなる。
・2015年4月から獨協大学へ移籍し、メディア研究とツーリズム研究の「掛け算」を研究でも教育でも本腰を入れて取り組む幸運に恵まれた。生まれも育ちも「メディア研究」なので、そこに由来する思考のクセは消えないが、いずれ「専門は観光研究です」と胸を張って言えるように精進中。
◆ 山口の研究テーマ
上に記したとおり、山口の元々の専門はメディア研究であり、以下のような本を発表してきました。もしも山口ゼミを検討されているならば、担当者の山口が「何者か」を知らずに応募して、あとでがっかりorびっくりするよりも、できれば以下の主な研究業績の1、2冊を簡単に読んでみて、自分なりに「研究」してみてください。それぞれの書名をクリックすると、amazon.co.jpの該当ページへ移動します。本の概要や読者のレビューコメントなども参考にしてください。
【主な研究業績】
単著① 『英語講座の誕生』 講談社(選書メチエ)、2001年
単著② 『グアムと日本人』 岩波書店(岩波新書)、2007年
単著③ 『ニッポンの海外旅行』 筑摩書房(ちくま新書)、2010年
単著④ 『客室乗務員の誕生』 岩波書店(岩波新書)、2020年
共著① 『「地球の歩き方」の歩き方』 新潮社、2009年
共著② 『複数の「ヒロシマ」』 青弓社、2012年
共著③ 『「知覧」の誕生』 柏書房、2015年
共著④ 『観光のレッスン』 新曜社、2021年
共著⑤ 『観光は世界をつくる』 明石書店、2023年
また2016年には『英語講座の誕生』韓国版が翻訳出版されました。⇒詳細はこちら。
これまで単著と共著をあわせると50数冊を出版しており、学術論文も同じぐらい発表しています。
もし興味を持ってもらえる本があれば、ぜひ大学図書館や家の近くの公共図書館などで借りて、部分的でもいいので読んでみてください。できれば感想などを聞かせていただけると、今後の研究活動に活かせるため、ほんとうにうれしいです。